我が家では、誕生日には家族揃ってレストランでランチするという習慣があって、その度にいろんなお店を探したり、何かプレゼントを用意したりするのだけれど、お祝い事をみんなで一緒に楽しむのはとても幸せな時間を過ごせる。
さて今回の彫刻は、吹奏楽部でフルートを吹いているお嬢さんのお母さんからの下記メールで始まった。
初めて問い合わせ致します。
娘、中3の誕生日祝いとコンクールでの金賞のお祝いを兼ねて記念に彫刻をお願いしたいです。
楽器はミヤザワのアトリエ3です。
絵柄は誕生花の瑠璃祭をモチーフにご相談させていただきたく思っています。
娘の名前に羽があることから、翼を入れるのも良いなぁ…と悩んでいます。
演奏時の滑り止めの効果があるデザインが希望です。ご検討宜しくお願いします。
これはお応えせねばなるまい!という事で、デザインを考え始めた。
まずは、瑠璃祭なる花を調べねば。Google先生やPinterest教授のお力をお借りして、いろんな方の写真を参考にさせていただいたり、植物図鑑の記事を調べたり。使ってる漢字は違うかもしれないけど、「ルリマツリ」の花言葉は、『いつも明るい』とか、『ひそかな情熱』とか。ブルー系の可愛らしい花だ。
もう一つのモチーフは羽根、または翼。この翼は、天使の羽根のイメージだそうだ。昔、自分の楽器に天使を彫ってみようと思って、天使の絵柄は調べていたのだけれど、これまたいろんな形があるので、どんな風に表現するか方向性を決めなければ。
モチーフが2つというのは、レイアウトするうえで優先順位をキチンと考えないとうまくいかない。どっちつかずになりがちなので、意外と難しいのだ。いくつか方向性が見えてくるので、まずはラフラフな絵を描いて、ご本人の好みの方向性を探っていく。これは広告制作をする場合と同じ手順だ。何度かキャッチボールをして、最後の⑥番目の方向性で考える事になった。天使の羽根は、がっつり主張するのではなく、上の方に舞い上がっている感じになった。
さて絵柄の方向性が決まって、楽器も届いた。綺麗にお手入れされ、大事にされてる感じが漂う。
フルートのリッププレートは面積がすごく小さいし、トーンホールがすぐそばにあるので、とても神経を使う。彫刻刀の刃の仕上がりが大事なので、研磨も入念にする必要がある。
私の場合、ラフ画は方向性というだけで、実際の楽器に下絵を描く段階で初めて詳細が決まってくる。さらには、全体を最初に決めてしまえればいいのだけれど、大抵そうはいかず、メインテーマとなる絵柄の中心になるポイントを先に決めて彫る事が多い。すると、その周囲はそのポイントに引き出されてイメージが現れてくる。当初思い描いていた絵柄とは異なってくるのだけれど、そちらの方が当初のイメージより綺麗に仕上がるから不思議だ。
という事で、完成。
さて、ご本人とお母さんに気に入っていただけるといいのだけれど、どうだろう?後日、メールでご感想をいただいた。
おはようございます。
朝早くから失礼いたします。昨日の深夜にフルートを受け取りました♪
親子共々、感激の仕上がりです!
娘はウルウル🥹していました。大変お世話になりました。
ありがとうございました!
はあ〜、嬉しい。今日はビールをグイッといってみようか。