なんと〜、またまたホルンに彫るん?という事になりました。

 というのも、以前、秋山璃帆さんのホルンに桜を彫らせていただいた時以来、ご要望をいただいてもずっとお断りしていて、今回が2年ぶりのホルンと向き合う機会となった次第で。
 前回経験して初めてわかったのだけれど、ホルンはあのグルグルとした形状のゆえに、私の左手で楽器を保持して右手で彫るというスタイルには難易度が超高かった!無理な角度で力を入れると楽器が変形する危険性もあるし。

 ところが、今回はたまたまオーバーホールされるタイミングで、彫刻を彫る予定の外側のベル胴を外していただけるとの事。それじゃあ、彫れる可能性があるなあと進める事になった。
オーバーホールされるのは、HMG金管楽器技術さん。こちらは金管楽器の修理からパーツ製作までを専門とする工房で、代表の米倉祥平氏はドイツのヘルムート・フィンケ社で10年以上楽器職人として働き、金管楽器製作マイスターの資格を取得されたとの事。これはコラボレーションが楽しみだ!

 事前に写真を送っていただいた。このベル胴の太い部分に彫刻希望との事。これは美しいぞ〜!映えるぞ〜!

 絵柄のご希望を尋ねたところ、何を彫るかの基本スタンスは森脇にお任せいただけるとの事だったが、当初の唐草模様かなあ〜というお話しから発展して、鷲とか鳳凰もいいかなあと。
 さらに、下記のようなご希望イメージの参考写真とメッセージもいただいたので、その方向で考える事にする。
 お好きなロゴマークの中にもホルンが入っている。きっとホルン吹きの方はこのクルクルンとしたホルンの形状に強い愛着を持っているんだろうな。

私の好きなホルンブランド『クルスぺ』というメーカーロゴが個人的に一番好きで、鷹(ワシかも)をメインに、ホルンのマークも入っていて、今回の火の鳥にも、そんなホルンの模様がどこかに入ったらどーかなーとか考えてしまいました。唐草模様の中によく見ると、ホルンが散らばってるとか、ホルンの形の中に火の鳥とか・・

どんな仕上がりになるのか、私も妄想膨らませておきます~☺️
全て、森脇サンのイメージにお任せします。

 さて、いよいよ届きましたよ!見事に胴体の一部のみになっていて、これならなんとかなりそうとホッとする。
 念の為に、接続部や彫刻を入れない部分には保護テープや緩衝材を巻いて、レイアウトを検討していく。

 スペースが縦に細長い事と左側の方は組み立てた時に細い管がかぶさって隠れる事になる事を想定しつつレイアウトしていった。その中に、小さいホルンの絵をどのように配置するかもあって、考えどころが満載だ。

 実際に彫刻刀をいれる際には、やはりアールの大きく奥行きのある形状のゆえに、左手の保持の仕方や彫刻刀を入れる角度に制限があって、少々彫りづらさはあるもののなんとか仕上がった。

 結局、ホルンは鳳凰さんに持ってもらった。なかなか難しい仕事だったけど、その鳳凰さんの魅力に加えて、音楽の神様・彫刻の神様やら(笑)、オーナーさんがお好きなホルンの神様(デニス・ブレイン)も一緒に降臨されたようで、力強い彫刻になりました。さあ、オーナーさんのご期待を超える作品になっている事を願うばかりです。

 完成してHMG金管楽器技術の米倉さん宛に発送。これから調整&組み上げがあるので、オーナーさんの目に触れるのはまだ先だ。結局、何を彫ったかは、お伝えしないでおいた。実際に愛器と再会された時の楽しみにとっておかないとねえ。

 後日、メッセージと組み上がった写真が届きました。

こんばんは。
本日、ようやっとホルンと対面する事が出来ました~☺️
あれから、待ってる間、ずっとイメージを膨らませて毎日指折り過ごしていました(笑)

HMGさんに到着してから、暫くの間、無言でずっと眺めていました(笑)
米倉サンと二人で、何度も『カッコ良ぇー』と連呼してました。
森脇さんの今までの作品をSNSで毎度拝見してましたが、やっぱり生の迫力には叶いませんねー😊

これから、益々練習が楽しくなる事でしょう。

 よっしゃあ!!!!
 ほんと配色もデザインも美しいホルンです。
 『鳳凰が現れた場所には調和と繁栄をもたらす』という言い伝えがあるそうですから、このホルンとオーナーさんが産み出す音楽に『調和と繁栄』が訪れますようにと願って、今日はビールで乾杯!