サックスに比べると、トロンボーンに彫刻した経験は少ない。巷でも、あまり彫刻されたトロンボーンを持っている人を見た事がないが、そもそもトロンボーン奏者にあまり出会ってないなと思い直した。ユーザー層の人口が違うのだろう。

さて、画像のトロンボーンは、以前、銀座の山野楽器さんの依頼で彫ったものだ。真鍮にブラックラッカーをかけたモデルだったのだが、黒地に金色の線が映える。凄く奇麗だ〜!これはあっという間に売れてしまったそうだ。

絵柄はカトレア。花言葉は「魔力」「魅惑的」とか。ちょっと妖しい魅力だけど、人気の花だ。彫刻しても華やかで映える。

実は、黒地に銀色の線が見える場合も締まった感じでカッコいい。昔、自分のシルバープレートの楽器にブラックラッカーをかけて彫ってみたので見栄えは確かめている。また、もっと珍しいけど、真鍮の楽器にホワイトラッカーをかけた場合は、白地の中に金色の線がなんとも華やかになるのだ。これも試してみたので知ってはいる。ほとんどホワイトラッカーの楽器を持っている人がいないので、まず注文は来ないと思うけど、これは美しいよ、おススメだよ。あ〜、彫ってみたい。

ただ〜し、ブラックラッカーのメーカーによるかもしれないし、素材の粒子の大きさや性質によるのかもしれないけど、かけてから日数が経つ程、硬くなってくる気がする。柔らかいと問題ないが、厚みのせいなのか、硬さのせいなのか、パリパリッと固まりで剥げる場合は彫るのは無理だ。それぞれの楽器メーカーがどんなラッカーを使っているかも、生産からどの位の日数がかかっているのかも不明だから、なかなか難しい。