久しぶりにトロンボーンの彫刻のご依頼をいただいた。
しかも、スペシャルなトロンボーンに。
オーナーさんと事前にお話しをさせていただいたのだけれど、オーナーさんのご家庭は音楽がとても身近な環境だったみたいだ。というのも、お父さんは民謡の師範で、お兄さんはジャズをやっていて、ご自身は小学生時代からトランペットを吹いてと・・・・、素晴らしい!
今回は、仕事に一区切りがついて、ご自分へのご苦労様&お祝い的にスペシャルなトロンボーンが欲しくなったとの事だった。
トロンボーン自体はハンドメイド工房「Glanz Trombone」の製作。オーナーさんから事前に写真をいただいた。

美しいオーラが漂っている。
でも、ベルカットのトロンボーンがあるとは知らなんだなぁ。
レイアウトはなかなか難しいぞ〜
このベルカットの存在と併せて、ロゴマークの形状や大きさ、及びその位置は彫刻のレイアウトに大きな影響があり、今回は難しさを感じて楽器を早めに送っていただいた。


やっぱりハンドメイドで精魂込められている美しさを発しているわあ。
さて、彫刻のモチーフについては、結果から言うと『カトレア』に決定!
当初の第一希望は『鳳凰』。でも、鳳凰はかなり手間がかかり費用もそれなりになる事もあるが、対象がベルを除く本体だけだと横幅が不足して、鳳凰の左右の羽根の迫力がちゃんと表現できなそうだった。
第二希望は、『カトレア』。こちらは問題ない。ただし、ベルがなくて本体内だけで成立するデザインを考える必要があり、これは今までになかった事もあるが、意外やピッタリくるバランスを探すのが難しかった。
また今回のロゴはシンプルでマーク的な装飾もなく、さらにベルカットの輪に近接しているので、これまたバランスが非常に難しい。
悩んだ結果、変形菱形エリアはそのまま採用して左右からも見えるようにして、ロゴはほとんど一体化してる雰囲気にしてみた。

オーナーさんにはご納得いただいて、『カトレア』モチーフで進める事とした。ちょっとインスピレーションに従って遊んでいいよという許可もいただいて。
さあ、彫ってみましょう
まずは、彫らない部分は保護テープでグルグル巻きにして彫り始めた。メインの部分が終わったら、ちょっとづつずらしていく。

メインの部分は2輪のカトレアを配置したのだが、若干大きさに大小をつけ、微妙なタッチの変化も加えてみる。

中心を決めたら、その上へ。
ここは曲を転調するようなイメージで、一旦変化を入れたい。

空白のバランスと『蝶々(幸運の訪れる知らせ)』がポイントだ。
さらに、そこから気持ち良い流れを探っていく。

また、僕は角度によっていろんな表情が現れるのが好きなので、全体的には変形菱形のエリアに入るようにレイアウトはするが、左右の違いも生まれるよう意識してみた。
なんとか、終わりました






さっそく宅急便で返送。
ベルをつけたバランスを確認したくて、オーナーさんに写真を撮っていただくようお願いしといた。
後日、お返事と共に写真も届きました。


感動です!!
感激です!!
ありがとうございます。
とても気に入りました。
素晴らしいです。
よっしゃ!
この新しい相棒に加わった彫刻が、オーナーさんのこれからの人生に喜びと彩りを添える事ができれば、こんな嬉しい事はない。