今まで、サックスに比べると少ないものの、トランペットもかなりの数を彫らせていただいた。ただベルのアールがきつく、写真の1カットでわかりにくいなあと思って撮ってないのが残念だ。失敗したなあ。
市販のトランペットでも彫刻の入っているモデルがあるけど、どちらかというと珍しい。でも実は、トランペットの場合、彫刻が入ってなくても造形美として成り立ってる感じがする。充分美しい。サックスの場合はちょっと間が抜けた感じがするのだけどなぜだろう? ベルの広がりのダイナミックさによるのか、大きさも影響するのか。
それ故か、トランペットの場合は、彫刻がワンポイントでも、逆に多めに入っていても、デザインのバランスが成り立つレンジが広いように感じる。Tシャツのワンポイントか大きめの絵柄かみたいな。デザインをする楽しみが大きいので、僕はトランペットの彫刻を施すのが好きだ。ベルの先も相手から見えやすく、アピールポイントになるので、本体の絵柄と合わせたデザインにしたりと、いろんな事が考えられる。
絵柄はそれぞれだけれど、やっぱり植物で構成する事が多い。そして、花言葉をかけてポイントとなる花を加えたりする。でも、お客さんの希望をきいて、その人なりの個性を持たせた工夫を入れるので、同じ絵柄は一本もない。名入れを依頼される事もあるが、これこそ同じ名前はないし、どんな飾りの絵柄を加えるかもみんな違う。そこが面白さでもある。
ただ、トランペットは板厚が薄いので、気をつけないとすぐ凹む。サックスが0.7mm辺りなのに、トランペットは0.3mm辺りの板を使うから。そんなドキドキを越えて、お客さんに渡したときに「オオッ!」と息をのんで見てくれたりするのが超嬉しい。