サックスの音や演奏に惹かれる人は多いと思うけど、フォルムというか構造美の美しさに惹かれて、吹いてみたいという人も多いんじゃないかと思う。やっぱり楽器は美しくないといか〜ん!

特にヴィンテージのサックスを見てみると、キーの一つ一つも美しいし、さらに彫刻もバラが咲いていたり女性が描かれていたりと、何かテーマを設けて描いていて、趣を感じる。昔の楽器は、そういう細かい所まで行き届いているものが多い。もしそういう彫刻が自分の楽器に入っていたら、へえ〜と思いながらふとした時には見てみたり、凄い愛着が湧くだろうなと思う。

現代ではやはり効率を考えて作られるためと思うけど、そういう趣やオーラをまとった製品は少なくなった。僕が最初にサックスを買った時も、彫刻はもう簡略化された模様になっている時代のもので、毎日のように吹いていても、どんな彫刻が彫られているか意識もしてなかった。残念だ。

個人的には、楽器には何か模様が入っているというより、テーマのある絵柄の彫刻が入っている方が好きだ。やっぱりサックスはセクシーだし、ロマンチックな楽器だし、バラは凄くぴったりなテーマだと思う。バラは細かくは色によって花言葉も異なるけど、全般的には「愛」と「美」の象徴だから。

Sax_バラの彫刻

上のバラの彫刻は、20年前にS社の特別彫刻モデルとして販売されたサックスにも彫ったものだ。この頃から、下絵の線の通りにトレースしましたという彫り方や、奇麗に奇麗に線が揃いましたというような彫り方に物足りなさを感じてきてしまっていたので、むしろ線がばらついたり、不揃いな雰囲気を出したり、1本の線が太くなったり細くなったりというような、不安定要素を入れた彫り方を工夫しだした。誰もやってない事にトライするのは怖い事ではあるけれど、この方が自分には納得できて、バラだけでもいろんなタッチの絵柄で彫ってみたりした。

ロマンチックな愛に溢れたサックスを相棒に欲しい方は、バラの彫刻はいいと思うな。おススメ!

Sax_バラの彫刻2