楽器の彫刻。それを望んで生業とするには、かなりのハードルがある。僕の場合はご縁としかいいようがない。デザイン学校出身と間違われて彫刻の絵柄を描いてみて、ついでに彫れるんじゃないのと期待されて彫ってみて、彫刻の日々がスタートした。
さらには、伝統的な絵柄を離れて、かってないものを産み出す必要に迫られたのもご縁だ。いろんなアーティストからのご要望にお応えして、絵柄を考え る必要が出てきたが、難題も多い。本多俊之さんの恐竜はその最たるものだった。今となっては初期の素朴な線ではあったが、渾身の作ともいえるエネルギーが 込められたものになった。
私のチャレンジの第一歩とも言える彫刻をほどこしたサックスは、1997年のJazz Life誌に本多さんの新しい楽器として紹介された。