久しぶりにソプラノサックスに彫刻のご依頼をいただいた。アルトやテナーサックスと違って、まとまって広がる面積は少ないのだけれど、あちらこちらにスペースがあって、そこをどう活かすかというのが面白い。

オーナーさんのご希望のテーマは、亡くなられたお母様がお好きだったという『桜』。そして、ネックからベルに向かってらせん状に桜が咲き乱れ舞い散るイメージだそうだ。

また、彫刻を施した上で金メッキをかけるおつもりとの事。事前の分解〜バフ研磨まで、さらには彫刻後の金メッキ〜組み立て&調整は、秋田県の管楽器修理工房『Klang』さんが担当された。

後日、バフ研磨が終わって、キーもとりはずされた状態の本体とネックが届いた。

まずはレイアウトのイメージを作っていく作業だ。今回は僕の好きなテーマでもあって、楽しく進んでいく。オーナーさんの想いを桜に乗せ、さらに楽器と会話しつつ、螺旋のエネルギーを感じながら頭の中に大体の絵柄を思い浮かべる。まずは、中心となるロゴ周りから彫り始める事にする。

全く彫ったことのないテーマや、花以外の特殊な絵柄だとレイアウトをしっかり考える必要も出てくるけど、この桜に関してはほぼインプロビゼーション的な進め方になるのがまた楽しい。そんな日々があっという間に過ぎて完成。

サムレストの下あたりには、最近好きになってきた蝶々に飛んでもらいましょう。

上の方の隙間にも、しつこくならないように咲いていただきましょう。

後日、Klangさんから金メッキ仕上げして組み上げた楽器の写真をいただいた。綺麗だわ〜〜〜。

同時にオーナーさんからも下記のようなメッセージを頂戴した。

彫刻は素晴らしいの一言です。特にサムレストの下からサムフックまでの余白に彫っていただいたところが、キーを下にして置いた時に美しく見えて、休憩時間が勝手に増えそうです笑
蝶もオリジナル感があり本当に嬉しいです。

ふふふふーーー、良かった良かった😊
これからもオーナーさんがオンリーワンの相棒と一緒に音楽を楽しみ、それを聴く方と一緒に幸せが広がりますように!